2011年6月21日火曜日

谷川俊太郎さん(本日香りなし)

先日、極楽寺の緑青というギャラリーで、谷川俊太郎さんが自宅の庭を1年間同じ場所から写真を撮った、という写真展を見てきました。
私は谷川さんの言葉の世界が大好きです♪

谷川さんの詩のプリントされたTシャツやら、サイン入りの本やらをゲットして、大興奮。




詩を贈ることについて   谷川俊太郎

誰にもあげることはできないのだ
詩はネクタイとはちがって
私有するわけにはいかないから
書かれた瞬間から
言葉は私のものでも
あなたのものでもなく万人のもの
どんなに美しい献辞を置いても
どんなに個人的な思い出を連ねても
詩を人目からかくすことはできないだろう
当の詩人のものですらないのだから
詩は誰のものでもありうる
世界が誰の所有でもないのに
すべての人のものであると同じように
詩は微風となって人々の間をめぐる
稲妻となって真実の顔を一瞬照らし出す
アクロスティックの技巧をこらして
愛する者の名をひそかに隠してみても
詩人の望みはいつも意味の彼方へとさまよい
おのが詩集にさえ詩を閉じこめまいとする
詩を贈ろうとすることは
空気を贈ろうとするのに似ている
もしそうならその空気は恋人の唇の間から
音もなくこぼれおちたものであってほしい
まだ言葉ではなくすでに言葉ではない
そんな魂の交感にこそ私たちは
焦がれつづけているのだから
こんなふうに言葉に言葉を重ねながら


本日は、これにて。

先日戸塚で見た、紫の空をおまけに。

0 件のコメント:

コメントを投稿